ついに。
いよいよ「板門店」へ向かいます。
ここは今まで来ていたところとは別格に緊張感のある場所でした。
DMZ内は何度かパスポートのチェックがあります。
移動しているバスに兵士が入ってきて
人数やパスポートの所持のチェックがあるので
必ず持っていることが重要です。
南北共同の警備区域であり
軍事停戦委員会の本会議場でもあるこの場所は
ついこの間、キムジョンウン委員長とムンジェイン大統領が
一緒に境界線を超えた場所としても注目されました。
このエリアは写真撮影などの制限がとても厳しいし
空気もちょっと違うので緊張感がありました。
韓国側は韓国軍と米軍が配備されています。
施設に行くまでの道は一見、のどかな田舎道。
でも両脇に大きな黒い柱がある場所があり
そこにはダイナマイトが入っていて
万が一何かがあった時、爆発させて道を塞ぐそうです。
途中、韓国と北朝鮮の国旗掲揚台が見えます。
北朝鮮の掲揚台の方が高く、旗も重たいので
よっぽどの風が吹かないとなびかないそうです。
お洗濯代もすごいらしいです…。
施設到着前にパスをもらいます。
まず、「自由の家」という、国連側が用意した施設で
映像を見て説明を受けます。
今回は米軍の担当者の方が説明していました。
そして宣誓書も書きます。ちょっと怖い。
「板門店の共同警備区域への訪問は、敵性地域への立ち入りを意味し
敵の行動によっては危害を受ける、又は死亡する可能性があります」
これはツアー後、何もなければおみやげとしてもらえます。
おみやげって…。おみやげにもらえてよかった…。
二列に並んで指示通り行動します。
常に兵士と監視カメラに囲まれています。
そしていよいよ…。
何度となくニュースで見てきたこの場所。
カメラはあちこち向けることは禁止
決められた時のみ撮影可能です。
青い壁から半分だけ体を出しているのは身を守れるように。
写真を撮った後いよいよこの青い家の中に入ります。
憲兵がいます。テコンドーの基本姿勢だそうです。両手をグーにして少し足と手の間に隙間を置いてすっと立っています。サングラスをするのは、誰かとアイコンタクトをしないように。まだ20代の兵役中の兵士だそうです。
一緒に写真を撮ってもいいけれど微動だにしませんし、話もしません。
そして部屋の中で北朝鮮に足を一歩踏み入れました。この板が南北を隔てているのです。
ここを本当に自由に行き来できるのは鳥や虫だけ。
けっこうたっぷり見学させてもらえたことが意外でした。写真も決められた場所と時間のみだけど可能だし…。
再び自由の家に戻ります。説明をしてくれた米軍の兵士と一緒に写真を撮ることも可能です。庭には彼女なのかな、女の子と親しげに話す兵士の姿も。緊張感のある生活の中でも少しだけリラックスする時間があるようで、なんだかホッとしました。
この板門店の見学はいろいろ厳しいのですが突然キャンセルされることがしばしばあるそうです。極秘に会談が行われる場合があり、そういう時はツアー会社も理由は知らされないまま「今日ダメ」と突然、言われるようです。
天気が悪い日も(視界不良の日とかかな)も万が一を考えてキャンセルされることも。なので全行程を見ることができて幸運でした。
ガイドさんがおっしゃっていたのですがイデオロギーや宗教で国が分断されてはいけない、と。そしてわたしたちは幸せが欲しい、とも。未来を考えて見学して欲しいともおっしゃっていたことがとても心に残りました。
兵役についても、兵役があることで進学や就職が遅れて巡り巡って少子化を招いているのではないか。韓国の少子化問題もとても深刻なのだとおっしゃっていました。
韓国人にとってこの重い場所に日本人の方が関心を持ってくださるのはとても嬉しいとガイドさんがおっしゃっていてわたしもこういった場所に行くことができてとてもよかった。
若い青年が命のこと、国のこと、家族のこと何かを守るということ肌で感じながら今日もあの場所に立っているのかと思うと苦しいような、姿勢を正したいような気持ちになります。20代の楽しい時間をあの空気の中で過ごすということは人生にどんな影響を与えるのでしょうか。
韓国の男の子、姿勢がいい人が多いように思うのですがそれは軍隊での訓練が影響しているのかな…。
DMZやJSAの見学は決してふざけた気持ちで行くべき場所ではないです。服装規定(軍服スタイル、色あせ・敗れたジーンズ、ミニスカート、半ズボン、袖なし服派手な服、トレーニングウェア、スリッパ、サンダルなどなどは禁止)ツアー開始24時間前からの飲酒禁止などルールがあります。安全面からのルールだと思いますが、敬意という意味でも重要なルールと思います。
でも少しでも関心があるのであればぜひツアーに参加してみることをおすすめします。
今回、売店で買ったもの。DMZのしおりにしました。